婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「はい。おかげさまで、元気にしておりました」

「それはよかった」

 もしかして、私が婚約破棄されたのを知って、気遣ってくださったのかしら?
 衆人環視の元で行われた婚約破棄だったので、社交界にも広がるのも早かったでしょうし、恰好なスキャンダルですから、いろいろな噂が飛び交っているのかもしれません。

 三人で話をしていると、王妃陛下と王太子妃殿下がご入場なさいました。
 すぐに王妃陛下のごあいさつがあり、乾杯を合図にガーデンパーティーが始まりました。
 
 広い庭園では招待客がそこここでおしゃべりの花を咲かせています。
 今回は伯爵家以上の若い世代の貴族たちが呼ばれているようで、同伴者も許されているので、パートナーと出席されている方もお見掛けします。

 私も以前でしたらエドガー様とともに出席せねばならなかったのでしょうが、婚約が破棄されましたので今日は一人で出席しております。一人の方が気を使わなくてもよいし、とても気楽でほっとします。

「来ているわね。あの人たち」
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