婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「最近はどうかしら。研究なども進んでいるの?」

「はい。もう少しで成果が出そうなので頑張っております」

「そうなのね。楽しみにしているわ。でも、無理しないようにね」

「お心遣いありがとうございます」

 それから、王妃陛下は様々なことを聞いて下さり、受け答えしているうちに時間があっという間に過ぎてしまいました。王太子妃殿下からもお声をかけて頂きました。豊かに波打つブロンドの髪にコバルトブルーの瞳。王妃陛下とは違うお美しさで淑やかな顔立ちが印象的な方でした。

「ローズ様、とても楽しそうだったわ」

「だったら、よかったのですけど」

 ついつい、つられて自分の失敗談まで話してしまいました。コロコロと笑ってくださったので大丈夫だとは思いますが。ほぅと息を吐き、やっと緊張感から解放されました。
 
「少し、移動しましょうか」

 ディアナと公爵様が歩き出しました。わけもわからず後ろをついて行くと、エドガー様とリリア様の後ろ姿が見えます。

「ここで、休憩しましょう」

 私達三人は空いているテーブルに着きました。ここから二人の姿がよく見えて、話し声もきこえます。
 知り合いにエドガー様がリリア様のことを自慢しているようです。とても愛していらっしゃるのでしょうね。私の時には隣にいてもいないかのような扱いでしたから。

 少し過去に浸っていると、メイドが料理と飲み物を持ってきてくれました。
 よかった。ちょうど喉が渇いていたので、ジュースを口にしました。寛いでいると、王妃陛下と王太子妃殿下がエドガー様とリリア様のところに行くのが見えました。

 何事もなく終わればいいのですけれど…… 
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