婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
お二人は王妃陛下とあいさつを交わしています。
ここまでは大丈夫そう。
なぜか、自分の時よりもドキドキと緊張します。
「あなたはチェント男爵家のご令嬢なのね」
「そうです」
「テンネル侯爵家から同伴者の許可申請は出ていたかしら?」
王妃陛下のお言葉に、お付きの侍従が脇に抱えていた書類をめくって確認しているようです。
「いいえ、出てはおりません」
「そう」
ひんやりとした空気が流れて、時間が止まったように周りがシンと静まり返ります。
今日は伯爵家以上ですから、子爵家や男爵家の方は参加できません。ですから婚約者などどうしても同伴したい場合は事前に主催者側に届けて許可をもらうのが常識です。
「あの、何か問題でもあるんですか?」
リリア様、言葉遣いにはお気を付けになって。お相手はこの国の頂点に立つお方、挑戦的な態度もいけません。ただでさえ心証が悪くなっているのですから、本当に気を付けませんと。隣に行ってフォローして差し上げたい気持ちになりました。
「わからないのならよろしいのよ。気になさらないでね」
「あたしは……」
何か言いつのろうとされたリリア様を遮るように、エドガー様が一歩ほど進み出られました。
ここまでは大丈夫そう。
なぜか、自分の時よりもドキドキと緊張します。
「あなたはチェント男爵家のご令嬢なのね」
「そうです」
「テンネル侯爵家から同伴者の許可申請は出ていたかしら?」
王妃陛下のお言葉に、お付きの侍従が脇に抱えていた書類をめくって確認しているようです。
「いいえ、出てはおりません」
「そう」
ひんやりとした空気が流れて、時間が止まったように周りがシンと静まり返ります。
今日は伯爵家以上ですから、子爵家や男爵家の方は参加できません。ですから婚約者などどうしても同伴したい場合は事前に主催者側に届けて許可をもらうのが常識です。
「あの、何か問題でもあるんですか?」
リリア様、言葉遣いにはお気を付けになって。お相手はこの国の頂点に立つお方、挑戦的な態度もいけません。ただでさえ心証が悪くなっているのですから、本当に気を付けませんと。隣に行ってフォローして差し上げたい気持ちになりました。
「わからないのならよろしいのよ。気になさらないでね」
「あたしは……」
何か言いつのろうとされたリリア様を遮るように、エドガー様が一歩ほど進み出られました。