婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
 気持ちの上では華麗に着地。のはずが、地に着くどころか、なぜだか体が宙に浮いているような。

「はあ。よかった。間に合った」

 耳元で大きなため息とともに声がしました。
 えっ……ええっ! 何が起きたのですか?

 後ろを恐々と振り返ってみれば、男性の顔が。目が合うと安心したような表情で微笑んでる顔がありました。
 えっ。この状況は何? もしかして、抱えられているのでしょうか?

 あわっ、あわわっ……
 お姫様抱っこ状態は、さすがに恥ずかしいです。顔が見れません。私の顔、赤くなってるんじゃないかしら? 

「あの、もう、大丈夫ですから」

「君、裸足だよ」

「靴が、ありますから……あの……」

 そうです。靴がそばにあるはずですからすぐに履けば問題ないと思うのですが、一向に下ろしてもらえる気配がありません。
 えーと。どうしたらいいんでしょう。
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