婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「マロン。おいで、マロン」
内心、焦っているところに別のところから声がしました。その声に聞き覚えがあるのか、今までおとなしくしていた子猫ちゃんが私の手の中をすり抜けて、声の主のところへ駆け込んでいきました。
子猫ちゃんの動きを辿った先には、五、六才くらいの男の子の姿が見えました。男の子に抱っこされた子猫ちゃんは嬉しそうにほっぺたをスリスリして甘えています。この子が飼い主なのでしょう。
「もう、マロンてば、勝手に外に出たらだめだよ。心配したじゃないか」
叱りながらも、子猫ちゃんの頭を撫でています。小さな男の子が子猫ちゃんをほおずりしている姿はなんともかわいらしいくて微笑ましい。私の心もほっこりと和みます。って、和んでいる場合ではないわ。
お姫様抱っこされているこの状況を何とかしなくては……
「あの、そろそろ、下ろして頂けませんか? 重いでしょうし、あの……ありがとうございました」
私はおずおずと切り出しました。きっとこれで、下ろしてくださるでしょう。
「おねえちゃん。マロンを助けてくれてありがとう」
私のすぐそばで男の子の声がしました。
「いえ、その……は、はい⁈……」
いきなり、ニコニコとした笑顔でお礼を言われて、他のことに気を取られていた私は、あたふたするばかりでうまく言葉が浮かんできません。
「じゃあ、帰ろうか」
頭の上から、爽やかな男性の声が聞こえました。
内心、焦っているところに別のところから声がしました。その声に聞き覚えがあるのか、今までおとなしくしていた子猫ちゃんが私の手の中をすり抜けて、声の主のところへ駆け込んでいきました。
子猫ちゃんの動きを辿った先には、五、六才くらいの男の子の姿が見えました。男の子に抱っこされた子猫ちゃんは嬉しそうにほっぺたをスリスリして甘えています。この子が飼い主なのでしょう。
「もう、マロンてば、勝手に外に出たらだめだよ。心配したじゃないか」
叱りながらも、子猫ちゃんの頭を撫でています。小さな男の子が子猫ちゃんをほおずりしている姿はなんともかわいらしいくて微笑ましい。私の心もほっこりと和みます。って、和んでいる場合ではないわ。
お姫様抱っこされているこの状況を何とかしなくては……
「あの、そろそろ、下ろして頂けませんか? 重いでしょうし、あの……ありがとうございました」
私はおずおずと切り出しました。きっとこれで、下ろしてくださるでしょう。
「おねえちゃん。マロンを助けてくれてありがとう」
私のすぐそばで男の子の声がしました。
「いえ、その……は、はい⁈……」
いきなり、ニコニコとした笑顔でお礼を言われて、他のことに気を取られていた私は、あたふたするばかりでうまく言葉が浮かんできません。
「じゃあ、帰ろうか」
頭の上から、爽やかな男性の声が聞こえました。