婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「俺の宮に行く」

「僕も行ってもいい?」

「いいぞ。一緒に来るか?」

「うん。行く。行く」

 俺の宮って……えっ! まさかですよね。いやいや、最悪のパターンになりそうな……
 私は王妃陛下主催のガーデンパーティーに来ただけなのですよ。何やら高貴そうな男性に会う予定などなかったはずです。

「もう、帰してくださいませんか? どこの誰とも知れない者を連れていては、あなた様にご迷惑をかけるかもしれません」

 そうです。名乗っておりませんので私は不審人物扱いではないでしょうか? ということで、解放してくれませんか? 

「……」

 なんで、そこで沈黙なんですか? うっすらと笑っていますけど、しゃべってください。

 結局、それ以降男性の口は開かれることはなく、抵抗もむなしく私は連れ去られてしまいました。
 
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