婚約破棄から始まる恋~捕獲された地味令嬢は王子様に溺愛されています
「あ、あの……」

 先生、もしかしてレイ様を部屋に入れるのですか? それは、困ります。どうしたらいいのでしょう。診察をしているところを見られたくはありません。ハラハラドキドキしていると

「リチャード殿下はまだお子様です。しかしレイニー殿下はれっきとした男性ですから、どんなに心配なさっていてもお入れするわけにはまいりません。子供ではないのですから、そちらのお部屋で大人しくお待ちください」

 ぴしゃりと言い放った先生はパタンとドアを閉めました。

「いやだー。開けてくれー」

 叫び声とともにドンドンとドアをたたく音が聞こえます。

「まっ、気にしなくてもよろしいでしょう。さて始めましょうか」

 そうですね。かまっていたらいつまでたっても終わりませんからね。

 ドンドンドン。
 まだ聞こえますが、レイ様けっこうしつこいです。

 リッキー様は私の横にぴったりとくっついて座っています。マロンは私の膝の上でゴロゴロと喉を鳴らしています。私はマロンの小さな体を撫でながら診察を受けました。
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