影の存在
「実貴~」

教室の近くで名前を呼んだ
けれど、応答がない
やっぱり、帰っちゃたかな・・・

後ろのドアを開けて、
教室の中を見た

「やっぱり、居ないよね」

誰も居ない教室
外からは、部活をやっている人
の声が聞こえている
静かな時間
その中に、私はポツンっといた

「そうだ」

私は、教室の中に入って
窓に近づいて外の風景を
見ていた
スーッと、冬の冷たい風が
私の長い髪の毛を揺らした

「やっぱり、カッコイイな・・・」

テニスの練習をしている
功季君を見る
もっと、近くで功季君の姿を
見たい
あなたの隣に私は居たい

けれど、そんな望みは
叶わないんだとね・・・

頬に一筋の涙が、垂れた

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