好きになってごめんなさい
一歩の勇気
「この問題は内積を用いるとー」
あぁー眠い。眠いすぎる。昼休みの後の数学ってなんでこんなに眠いんだろう。
窓から入ってくる温かい日差しがもう寝ろと言って…。
「有明ー大丈夫かぁー」
あぁ注意されちゃった…。最悪…。これでも起きようとしてるんだから許してよ。
「有明ーこれどうやって解く?」
えぇ…寝てる人当てるタイプの先生なんだ…だる…。
「えーっとx-1/xをtっておいて、それから」
「そう、正解。有明の言った通りx-1/xをtっておくと、この式はtの2次式で表せてー」
あ、最後まで言わなくていいのね。ありがたいけど。
「有明はわかってたみたいだけどみんなこの問題知ってた?さっき4組でやったら渡海
も普通に答えてたけどもしかしてやったことあった?」
えっ渡海もこの問題当てられたんだ…。そうなんだ…。
渡海も寝てて当てられたのかな。渡海のことだから寝てそうだな。
同じ問題当てられるってちょっと嬉しいな。
だめ。嬉しいなんて思ったらだめ。
私はもう渡海のことはなんとも思ってないんだから。
きっと渡海は私のことなんて覚えていないんだろうな。