もう一度、契りを交わそう
「まっ、待って……」

帳の中、甘ったるい一夜が幕を開けた。だがそれは、藍が男性から永遠に逃げられなくなるということだったのだ。



「ッ!ハアッ……ハアッ……」

藍は大きく肩で息をし、ソファから飛び起きる。そこはバイト先の休憩室だった。あれだけ体が重く、熱も高かったというのに、何故か体は元気に戻っている。

「あれは、私の前世?」

永遠に一緒にいる術をかけられた後、藍は子どもを身籠もり男性と結婚した。そして死ぬまで屋敷の外に出されることはなく、狂気的な愛情を向けられ続けたのだ。

前世の自分が感じた恐怖に、藍の体に寒気が走る。前世で藍を監禁していた男性は、今の藍の身近に生まれ変わっているのかもしれない。藍はかばんを手に取り、歩いて帰ろうとした。だが、藍がドアを開けるとドアの前にいた誰かにぶつかってしまう。

「そんなに慌ててどうしたの?」

伊織がファミレスの制服から私服に着替え、かばんを手に立っていた。藍は恐怖を感じ、後ずさる。

「そ、その……」

何故か伊織に対して恐怖心が芽生えてしまう。
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