もう一度、契りを交わそう



藍が目を覚ますと、そこは見慣れない場所だった。ボロボロの藁か何かを使った屋根が見え、体を起こすと時代劇に登場しそうな囲炉裏などが見える。

「えっ……」

さらに、自分の体を見ればボロボロの着物を一枚纏っているだけだ。手足もどこか薄汚れている。

「お〜い、起きたなら畑の仕事を手伝ってくれ!」

家の中に泥だらけで畑仕事の農具を持った男性が入ってくる。無精髭を生やし、小柄だ。藍の知らない人のはずだった。だが、藍の脳は目の前にいる男性が「父親」であると認識している。

「わかった」

藍の口は勝手に動き、畑へと歩いていく。そして畑仕事などやったことのない藍だったが、体は勝手に動いていた。

両親に、たくさんの兄弟がおり、その中に自分もいる。近所の人たちはみんな親切で、助け合って生きていく。そんな日々が続いていた。だがある日、村に謎の病が流行り、藍以外の人間はみんなその病に倒れ、次々に亡くなってしまったのだ。
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