もう一度、契りを交わそう
「父様、母様……」

一人で掘って作った墓の前に座り込み、藍は毎日のように泣いていた。そんなある日、豪華な着物を着た一人の男性が藍の前に現れる。前髪は真ん中分けにされており、額には星のような形をしたアザがあった。

「君はこの厄災から唯一逃れることができた奇跡の娘だ。私のところへおいで。綺麗な顔をしているのだから、綺麗な着物を着せてあげよう。ろくに食べてないようだし、おいしいものをたくさん食べさせて、何不自由ない暮らしをさせてあげる」

突然独りになり、悲しみと寂しさで心が乱されていた藍は、迷うことなくその男性の手を取った。男性は名前を名乗った後、仕事は陰陽師をしていると言った。祈祷や占術を行い、悪いものと戦う力を持った特別な人間である。

男性は天皇からの信頼も厚く、貴族と変わらない立派な屋敷を持ち、多くの使用人を雇っていた。藍はお風呂に入れられた後、目にしたこともない豪華な着物を着せられ、男性と暮らすことになったのだ。
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