もう一度、契りを交わそう
藍が振り向けば、そこには男性が無表情で立っており、藍の手を掴む力はどんどん強くなり、痛みが走る。

「は、放して……」

藍は手を振り解こうとするが、解くことはできなかった。逆に男性に抱き上げられ、部屋に連れ戻されてしまう。

「逃げるなんて許さないよ」

部屋に何故か敷かれていた布団の上に藍は寝かされ、その上に男性が覆いかぶさる。完全に逃げ道がなくなってしまい、藍の体は小刻みに震えた。

「君をたまたま見かけて、その日から手に入れるためにどれほど苦労したと思っているんだ。君に私のかけた呪いがかからないよう、君だけを守るのも大変だったんだ」

「の、呪い?」

男性に頬を指で撫でられながら、藍は何のことだろうかと考える。そして、藍の周りの人たちが亡くなった病を思い出す。

「あなたの仕業だったんですか?」

涙が込み上げ、怒りから藍の声が低くなる。男性は優しく微笑んだ後、「そんな顔は似合わないよ」と言い、藍の唇を自身の唇で塞いだ。
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