愛され婚。〜カタブツ副社長は、私の前では溺愛体質を隠しきれない。〜
《優side》
ああ、可愛い。
ずっと遠目で見ていた彼女が、今目の前で婚姻届を書いている。途中髪を耳にかける仕草も可愛いし、ボールペンの書いている音さえも愛おしく感じる。
「浅見さん、これでいいですか?」
「ありがとう」
早く彼女に触りたくて仕方ない。だが、今触ってしまったら絶対引かれる。避けられるに決まっている。
「浅見さん?」
「……結婚したんだ、優と呼んでくれたら嬉しい」
「そうですよね、分かりました。優、さん」
名前呼び……破壊力半端ない。彼女の口から俺の名前が!!
「……実花」
もう、俺のモノだ。これから俺が溺れさせてやる。
俺しか見えないように……。