君と私の近距離恋愛
そして同じクラスで
同じ部活に入った。

これもただの「偶然」

――――…のはずだった。

「おい、翆」

タオルを首に巻いた貴也が
こちらにやって来た。

「な、なに?」

貴也を前に、わたしは緊張した。

貴也の低くて優しい声が好きだ。
この声で「翆」と呼ばれると
すごく鼓動が早くなって息苦しくなる。

「つぎ、お前の番だろ」

「あ、そっか」

わたしたちは、ソフトテニス部に所属している。
わたしは小さい頃から習っていたから、結構いい成績を残してる。

だけど、そんなわたしをも貴也はドンドン追い越して
去年の大会で優勝を決めていた。

貴也は、何でもできる奴だった。
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