君と私の近距離恋愛
「よし、出来た
そろそろ戻るか?」

包帯を巻き終えた貴也は立ち上がって
わたしの頭をポンと叩いた。

待って、まだ行きたくない
まだ話してたいよ…

「ま、待って」

わたしは、貴也の服の裾を掴んだ。

「ん?どうした?」

貴也は、首を傾げて
わたしの目線に合うようにしゃがみ込んだ。

「…ま、まだここにいちゃ駄目だよね?」

「え?」

わたしの発言に、貴也は少し困っていた。

やだ、わたし何言ってんだろ

「な、なーんて!
サボリになっちゃうね
そろそろ戻ろっか」

「いいよ」

「え?」

「まだここにいよ
俺、翆と話すの久しぶりだしさ」

貴也は、ニコッと笑って
わたしの隣に腰かけた。
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