エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

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雅史が院長室に呼ばれて二十分が経過した。

(そろそろ診察時間になるけど大丈夫かな……)

ドアが開いたのは、楓が腕時計で時間をたしかめながら自席で立ち上がったときだった。


「先生、間もなく――」


雅史の後ろから入ってきた若い女性を見て言葉を止める。
患者の家族だろうか。しかし、そうだとしたらここまで来たりはしない。話をするならカンファレンスルームと決められているからだ。

訝りつつ「おはようございます」と頭を下げた。

雅史はなんとなく困惑気味だ。


「雅史さんの秘書の方ですか?」


下の名前で呼んだ彼女に困惑しつつ、尋ねられて「はい。海老沢と申します」と明瞭に答える。


「私は石川芹菜です」


女性は愛らしく微笑んだ。
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