エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「だけど――」
楓が言いかけたそのとき、部屋のドアが開き、診察を終えた雅史が戻ってきた。
ふたりのただならぬ様子を見て「どうかした?」と声をかけてくる。
「あ、いえ、明日のアメリカ行きですが――」
「神楽先生、私が同行することになりました」
楓を遮って芹菜が嬉々として報告する。先ほどよりも笑顔がキラキラ弾ける。
「……どういうこと?」
怪訝そうな彼の目が芹菜から楓に移る。
「海老沢さんは大事な仕事があるので日本を離れられないそうです」
楓が口を開くより早く芹菜が説明した内容に、雅史は首を傾げた。
「意味がわからないな。海老沢さんは俺の秘書だから、仕事は俺と共にある」