エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
「ごめん。昔の男に嫉妬なんてカッコ悪いな」
嫉妬してくれるのは、楓を好きな証拠。やはり芹菜のメールは嘘だ。
そう打ち消したが、『やっぱり雅史さんも男ですよね。楓さんを好きと言いながら、近くにいる私を抱けるんですもの』という芹菜の言葉が邪魔をする。
「アメリカで石川さんと……」
勢いで問い詰めようとして思い留まる。芹菜が言っていたように、もしも過ちがあったとしても打ち明けてはくれないだろう。
知らなくていい真実もきっとある。
「彼女と、なに?」
楓を引き剥がし、雅史が聞き返す。
「……いえ、なんでもないです」
首を横に振った。
「俺は楓以外の誰のものにもならないし、楓をほかの男にやるつもりもない」