エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
雅史とキスしている状況が信じられず、どこか夢見心地。しかし唇を割った彼の舌が侵入してきた途端、そんな余裕は露となり消えた。
「……ん、ふ……っ」
艶めかしい感触が口腔内を侵し、楓の理性を散り散りにしていく。絡まった舌先を器用に抜き差しされ、優しく吸い上げられた。互いの熱を移し合いながら、キスの温度が容赦なく上がる。
カクンと膝から崩れそうになった楓を支えたのは、雅史の腕だった。
「シャワー、浴びるか?」
「できればそうしたいです」
キスのままベッドになだれ込まずにホッとする。雅史の前に汗で汚れた素肌は晒したくない。
「じゃ、行っておいで」
雅史は濡れた楓の唇を親指で拭い、見たことのない妖艶な笑みを浮かべた。
機械仕掛けのようにぎこちない手つきで隅々まで丁寧に洗い、体じゅうに熱いシャワーを浴びる。
豪華なバスルームに見惚れる心理的なゆとりはまったくなく、はやる鼓動を持て余すばかり。