エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない
軽く傾けて乾杯の仕草をしてから、口をつける。正直、味わっているどころではなく、ただアルコールを体に流し込んでいるような状態。
体の強張りを解きたくて一気に飲み干したら、雅史にグラスを取り上げられた。
「お酒が好きなのはわかるが飲み過ぎは厳禁だ」
「でも、すごく緊張してるのであと少しだけ」
気持ちに余裕がほしい。この状況下で余裕をもつなんて無理な話ではあるし、アルコールでどうにかなるものでもないけれど。
「それなら俺がその緊張を解いてやる」
雅史は自分のグラスからワインを口に含み――。
「えっ!? ひゃっ……!」
突然楓をソファに押し倒した。
両手を拘束されて組み敷かれた次の瞬間には唇を奪われていた。驚きで半開きになっていた口からワインが流し込まれてくる。
「んっ……」