エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

かろうじて冷たさの残ったロゼは、不思議なことにグラスで飲んだときよりも濃厚な味わいだった。口移しのエロティシズムがそう感じさせるのか、頭がくらくらする。

いっそ、甘美な誘惑にもっと溺れたい。
一夜限りだからこそ羞恥も理性もかなぐり捨て、心と体が求めるままに。


「もう一回ください」


自分でも自覚するくらいうっとりした目で彼を見つめた。


「ねだるのがうまいな」


雅史がうれしそうに微笑む。体を起こして再度グラスから口に含み、楓に飲ませた。

一度目のワインを追いかけて、二度目が体中を駆け巡っていく。喉から胸を伝い、胃のあたりまでカーッと熱い。

ほんの少しだけ唇から溢れたワインが頬から首筋へ流れていき、雅史はそれを舌で舐め上げ、唇を目指してキスを移動させていく。


「あと一回」
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