エリート脳外科医の独占愛に、今夜も私は抗えない

「ぁ、っ……」


甘ったるい声が、キスで塞がれていた唇の端から零れた。そんな声が自分のどこから出てくるのか不思議だ。


「かわいい声」


雅史が鼻先同士を擦り合わせてうれしそうに笑う。


「先生……私、ひどい姿を晒すかもしれません」
「ひどい?」


頷いてから先を続ける。


「乱れすぎて先生に引かれるかも」


いつも真面目ぶって澄まして仕事をしている楓からは、きっと想像もつかない姿だろう。


「それはすごく楽しみだ」
「私、本気で言ってるんです。だってキスだけでもう……」
< 48 / 322 >

この作品をシェア

pagetop