魔女と恋と君。
ただ、息をするだけ。
一歩も部屋の外に出ないで。
誰とも会話をせず、一日を終える。
学校に行かない日々が続いてから、もう何か月たっただろうか。
君に会えなくなってから、もう何年たっただろうか。
「柚、そろそろ学校、行ってみたらどう?」
「……」
「お姉ちゃんは、柚のこと応援してるから、」
そういって、姉ちゃんは学校に行った。あんな窮屈な場所、どうしていとも簡単に
いけるのだろう。最低な奴らしかいないじゃないか。
〈ピンポーン〉
「…はい。」
「…柚君、あなたほとんど学校に来れてないでしょ。このままだと留年だよ。
 …あの子のためにも、学校、来てみたらどうかしら?」
「先生に何が分かるんですかっ!どうせ何も分かってないじゃないですか!どうせ話したって分かってくれないじゃないですか!」
「柚君…」
「あっ…ごめんなさい。」
「いいのよ、でも…私は、柚君に学校に楽しく通って欲しいだけなのよ…」
「先生…ごめんなさい…こんな出来損ないで…ごめんなさい…でも…どうしても…あんな奴らに会いたくないんです…」
「柚君はーー」
そこからずっとボーッとしていて、先生の話なんか1ミリも入ってこなかった。
気がついたらもう先生は帰っていた。申し訳なかった。こんな事しか出来ないのなら、もういっそ死んでしまおうか。もうこの世界から消え去って、僕の中の全てを忘れ去って、新しく生まれたほうが、家族のためにもいいのかもしれない。
もう、疲れたんだ。君が居ない世界で生きるのは。
君がいないこの汚い世界で生きるのは。君の消えたこの白黒な世界で生きるのは、
弱い僕にはもう限界だった。
「もう、だめだめじゃんっ・・・」
そう、独り呟いた。何か言ったところで何も変わらないのに。〈行動〉を起こさないと今の自分から変われないってことは、ずっと前から知っていたのに。
学校に行こうとドアノブに手を伸ばし、触れた直後には、今までの嫌な出来事が追い詰めるようにフラッシュバックしてきて、僕はそこでしゃがみ込むことしかできなかった。このままだと廃人になることも目前だというのに。わかっているのに。
なんでこんなことしかできないのだろう。
「…なんで、だろうな、」
そう、意味深につぶやいた。君の真似をして…。
< 1 / 2 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop