俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 そんなことがあった日から俺は母に誘われればその場に顔を出すようになっていった。行くたびにこはるの百面相を見るのが楽しく、癖になっていった。

 そうして数ヶ月が経ち、俺は父から呼び出されることとなる。

『お前もそろそろ後継者としての仕事を覚えていかねばならない。幸い才能はある。仕事さえ覚えてしまえば、私よりも立派なトップになれるだろう。……だからこれからアメリカに留学へ行き、経験を積みなさい』

 その頃には堕落した生活より、会社での仕事にやりがいを感じ始めており、二つ返事で了承した。若いうちに海外での仕事経験で学ぶことは将来のためにも必要だと考えたからだ。

 留学へ行くと考えたとき、一番初めに思い浮かんだのがこはるの事だった。何故だかは分からない。けれど、数年は彼女の顔を見ることができないということに一抹の寂しさを感じていたことは否めない。
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