俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「月ノ島専務、お電話です」
俺は女性秘書の言葉に頷き、保留ボタンを解除して電話に出る。
昨夜、こはるを自分本位に抱いてしまった次の日。俺はいつも通り会社へ出社していた。家を出たときもまだこはるは眠っており、結局何も話すことがなかった。
暗く濁った心のせいで晴れない感情を持て余しているが、仕事に私情を持ち込むことなどできない。感情に蓋をするも、ため息が漏れ出てしまうのは仕方がないだろう。
午前の仕事を終えても、俺は昼を食べることもせずひたすら仕事に打ち込む。何かしていれば気が紛れるからだ。
こはるも寝静まった昨日の晩、あの俺にとって最悪の夜のことを思い出してしまった。天下の月ノ島の御曹司が一介の娘に振られたとあれば格好がつかないといった理由でこのことは誰にも話しておらず、墓場まで持っていくつもりだった。