俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 一日休憩をほぼ取ることなくデスクに向かい続けていたため身体が怠く、肩が凝っているのがわかる。目頭を押さえて椅子に身体を預けていると、秘書の女が口を開いた。

「……お疲れなんですね?」

「ああ、まあな」

 端的に答える。
 この秘書とは内山とのように付き合いが長いわけではなく、親しくもない。そのため素っ気なくなってしまうのは致し方ないだろう。髪を結い上げばっちりと化粧を施しているいかにもキャリアウーマンといった女。彼女はどうやら別部署から派遣されてきた人間のようだった。

 薄紅のルージュの引かれた唇をくいっと上げ、妖艶に微笑みかけてくる。

「……よければ、私が今夜癒して差し上げましょうか?」

 どうやらこの女は俺を誘っているようだった。確かに美人であり、いかにも色っぽい姿で留学以前であれば迷わず是と答えていただろう。だが。
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