俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 ホテルに帰って一人になると口付けのことばかり思い出してしまい、どこの中坊だと自分を罵った。たかがキスだ。これまで数え切れないほどしてきているはずなのに。

 それもこれもためいき橋の言い伝えのせいだ。

 永遠の愛が約束されると教えたはずなのに、こはるは自ら唇を重ねてきた。
 その行為が俺をおかしくさせている。

 ヴェネツィアの撮影の中で、現地人がこはるに声をかけようとしていた場面に遭遇する出来事があった。
 そのとき俺は思わずその男たちに金をばらまき、けしてこはるには近づかないように脅した。なにをしているのだろうとあとになって頭を抱えたが、どうしてもこはるに近づく男が許せなかったのだ。
 何故そこまで手間をかけるのか、こはるは俺にとってただの過去の傷であるはずなのに。
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