俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「な、何故泣く……」
「びっくりしちゃって。…………お花、嬉しいです。ありがとうございます」
こはるは涙を流しながら顔を綻ばせ、俺に笑いかけてくれた。
その笑みに心臓がぎゅっと掴まれるくらいに衝撃を受ける。
なんて愛らしいんだ。
自分でもこんなことを考えるなんてアホらしいとさえ思ったが、こはるの些細な笑顔でさえ俺を振り回す。
気がつけば花束を抱えるこはるごと腕の中へ引き寄せていて。
強く抱きしめると、風呂上がりのせいかいつもよりも暖かい体温が伝わってくる。その温もりに、さらに腕を強めた。
最初は驚いたのか固まっていたこはるも、次第に身体の力が抜けてきて。
「玲二さん………ちょっと痛いです」
「我慢しろ」
濡れた髪を指先で梳き、頭頂部にゆっくりキスを落とす。びくり、とこはるの身体が跳ねるのが面白い。髪と髪の隙間から見える耳は紅潮しており、彼女が照れているのだと分かりさらに愛おしさが募った。
俺はこのとき、確かに幸せを感じていた。