俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
私の視線を感じたのか、母の双眸がこちらを向く。ひさしぶりにあった彼女は以前と変わりなく、むしろ時を経るにつれて益々美しくなっているような気がした。
スター性なのか、その場にいるだけで場が華やぐというのは母のために作られた言葉のようで。
気後れした私はうまく声を出すことができず、母は私の方へと足を向ける。
そして眼前に立つと顔を綻ばせ、ゆっくり話し出した。
「久しぶりね、こはるちゃん。一人暮らしを始めてから全然会うタイミングがなかったわね」
「お母さん……うん、メール送ったけど気づいた?」
「……えっ? 本当に? 全然見ていなかったわ……連絡は全てマネちゃん任せだから」
相変わらず天然な母は柔らかく微笑んでいた。普段はまるで大女優には見えないけれど、いざ演技をすれば別人のように変わるのだ。