俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 眉根を寄せ、悲しげに語る遠藤が私の心配をしてくれているのは分かる。
 彼は自分の好意を無理矢理押し付ける自分本位な人間ではない。それなのにこんなことをするのは私のことを心の底から案じ、それが行きすぎてしまった結果なのだろう。

 遠藤は続ける。

「あんなに苦手だって言ってたのに結婚することになったのは、あの人に何か弱みでも握られたからなんだろ?」

「それは……」

 遠藤の言うことは当たっていた。
 私は劇団を救うために妻になると言ったのだ。ある意味自分の身を引き換えにしたといってもいいだろう。

 ーーけれど、私は玲二のことが好きになってしまったのだ。
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