俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 最初こそ嫌で仕方がなかったが、今ではそんなこと微塵も思っていない。むしろこの契約があって良かったとさえ思っているのだ。

 それを伝えようと口を開きかけたそのとき。



「こんなところで不倫とは………月ノ島の妻の風上にもおけないやつだな」




 そこには恐ろしいほどに冷酷な面持ちをした玲二がいた。
 息もつけないほどに驚いた私の口からは否定の言葉が飛び出る。

「ち、違うの……これはーー」

「言い訳なんて聞きたくない。…………お前の顔を見ていると虫唾が走る。……っ、くそっ、俺を弄んで楽しかったか? 高みの見物はさぞかし愉快な事だっただろう」

 ものすごい剣幕で怒鳴られ、心臓が跳ねた。だがそれ以上に衝撃を受けたのは、玲二から出た言葉で。
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