俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「こはるとのキスはさぞかし良かっただろうな? 無理矢理縛り付けられた女を助け出すヒーロー様はさぞかし立派で鼻高々だろう。…………くだらない奴ら同士で勝手に睦み合ってろ」
聞く耳すら持たない玲二に遠藤は戸惑いの感情を見せるものの、すぐさま否定の言葉を口にした。
「それは違います。さっきのキスは俺から勝手にしたもので、花宮に裏切る気持ちなんてなかった」
「口ではどうとでも言えるな。だがな、俺は俺のものを穢されるのがなによりも許せねえ。だから穢されたものは視界にも入れたくねえんだよ…………もう二度と俺の前に顔出すな」
玲二はこちらをひと睨みしするが目がかち合った途端、一瞬瞳を揺らす。けれど体を翻し、全てを拒絶するかのように歩いていく。その背中を見て、彼は言い訳の一言も受け入れてくれないのだと悟った。
玲二が去ったあと、一筋の温かい雫が頬を伝っていくのだった。