俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
自失茫然とした気持ちで私は自宅へと戻っていった。途中、困惑と罪悪感に満ちたような相貌をした遠藤に声をかけられたがうまく言葉が出てこず、頷くことしかできなかった。
撮影だけはなんとかいつも通りこなせたのは役者としての自分だけは見失ってはいけないと分かっていたからだった。
何度後悔してももう遅い。タイミングも悪かったし、全てが複雑に絡み合ってしまっている。彼の怒りが鎮火し、私の言葉を聞き入れてくれるようになるまで待つしかない。
玲二さんの独占欲についても理解していたはずなのに、考えが浅かったのだろう。私は彼の気持ちについて分かり切ったつもりになっていただけの道化だった。
そもそも遠藤の後をのこのこついていった私が悪かったのだ。彼は全く悪意もなく、ただ私を心配していたということは分かってる。
ただ、昨日香澄にも言われていたはずなのに。ーー気をつけて、と。