俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
もしかして玲二がこの二人の家に帰ってくるかもしれないという可能性を憂慮して、私は帰路に着いた。けれど、その期待も虚しく玲二の姿はなかった。
あんなにも憤懣を抱き、瞳には厭忌すら見て取れたのだ。私の姿が見える可能性のある場所には寄り付かないだろう。
数年前、玲二に言ったことがある。
『もう私に構わないでください。話しかけられるのもうんざりする。……私が世界で一番嫌いな人種、なんだか分かりますか? 女性にだらしなくて、人を大切にできない人です。あなたが女性を泣かした上に酷い言葉を投げかけるの見てから、私の中であなたは関わりたくない人になったんですよ』
故意ではないとはいえ、むざむざと唇を奪われてしまった。その場面を見ていたのならば、後の会話も聞いていたことだろう。