俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
「あのときは楽しかった……こんなに苦しい思いするなんて思わなかった」
ぽつりと呟いたとき、いきなり電話が鳴る。咄嗟のことに驚いた私はに赤い茶碗から手を離してしまう。
パリン。
耳障りな音が反響する。
「あっ……」
手から離れ、床に叩きつけられた私用の赤い茶碗は見るも無残に割れてしまった。粉々までとはいかないものの、修復は不可能だろう。
まるで今の私の心を具現化したようでーー。
「どうしてこうなったんだろう……」
幸せに浸りすぎていたのかもしれない。あの時間をもっと大切にしておけばよかった。
そう考えるだけで、自然と奥から感情が湧き上がり。