俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
ふぅと息をつき、泣いていたことがバレないように気持ちを整えた後、香澄にかけ直した。
『もしもし、こは~?』
「香澄先輩、こんばんは。さっきは電話出れなくてすみません……」
『ううん、それはいいんだけど………………というか、もしかして泣いてた? 元気ない?』
香澄は気持ちの機微に目敏い人だ。誤魔化すように笑うが、すぐに嘘だとバレてしまった。
結局私は今日あったことを洗いざらい話すこととなりーー。
『そっか。うーん…………そんじゃ、今日はウチに来な! こういう時は一人でいちゃダメだよ! 先輩に任せなって』
「え? でも、先輩の自宅には婚約者さんもいらっしゃるんじゃ……」
『今日はあの人出張中だから大丈夫。むしろ、私が一人で寂しいからさ! ね、お願い?』
香澄が気遣ってくれていることは分かっていた。だからこそ、私はその優しさに甘えるように「はい、ありがとうございます」と返事を返した。