俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 二人に対する苛立ちを覚えていると、二人が廊下の隅で隠れるようにして立っているのが分かった。

 思わず駆け寄ろうしたそのとき。

 二人の影が重なる。
 すぐにキスをしているのだとわかった。

 こはるは特に抵抗するわけでもなく、遠藤の好きなようにさせている様子で。

 こはるの表情は影になって見えない。逆に遠藤の必死な形相が目に焼き付き、呼吸が荒くなっていくのがわかった。心臓が嫌な音を立てる。

 茫然と足を進めるも、二人の会話が耳に届く。

「そう、だよな…………知ってる。でも、花宮のこと、どうしても諦めきれないんだ」

 どうやらこはるへ迫っているようだった。
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