俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
そう思考がたどり着いた途端、急激に虚脱感に襲われる。昔、留学前にこはるに拒絶されたときでさえ、ここまでの虚無感は感じなかった。
まるで自分が人形になったかのような気分で。そしてそのあと、猛烈に怒りと悲しみが押し寄せてきた。
怒りと悲しみはより深くなり、憎しみと絶望へと変化する。
気づけば二人の前に姿を表していた。
自分が何を語ったのか覚えていない。
ただその憎しみと絶望をぶつけるかのように、ひたすら言葉を並べ立てたことはわかる。
そのとき見せたこはるの泣きそうな表情が瞼の裏に張り付いて離れない。
裏切った張本人がなぜそのような顔をするのか分からなかった。だが、それを聞く勇気は俺にはなかった。こはるの口から直接俺を非難するような言葉をもう一度聞くことがあればーーーー俺の心は死に絶えるだろうから。