俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
タクシーが会社のビルに到着し、カードで金を支払った俺はそのまま仕事場ある俺専用の部屋へと戻った。
仮の部屋とはいえ、こはるが以前住んでいたボロアパートに比べれば何千倍も豪華だ。
こはると結婚して今の居住に住む以前は、基本的にここを寝床としていた。
もちろん自宅はいくつか待っていたのだが、どうにも寝るために帰るのは面倒でついついここばかり利用していたのだ。
だからこそ、こはるの待つあの家に帰ることはくすぐったく、そして不思議な気持ちっった。以前なら面倒で仕方がないことも、こはるが待つと考えるだけでむしろ早く帰りたいとすら思うほどだった。
「…………ふぅ」
スーツを脱ぎ捨て、そのままソファに身を沈める。ここにはテレビなどの娯楽の類は一切ない。だからこそ、余計に沈黙を感じるのだろう。