俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
紛れもないただの本心だった。
こはるの全てに振り回された俺の最後に残ったのは怒りでもなく憎しみでもなく、ただこはるへの執着心で。
「俺は…………また失恋したのか?」
自らに問いかけた言葉に虚しさを覚える。
同じ女に恋をし、そして二度も恋に破れる。これほど滑稽な話はないだろう。
以前も言われたじゃないか。
俺と関わりたくない、嫌いだって。
そうにも関わらず、勝手に愛して勝手に失恋する。なんて間抜けなのだろうか。
気がつけば棚に置かれていた酒を手にしていた。自分で購入したわけではないが、たまに取引先から渡されることがあり、それらをここに保管していたのだ。
こはるは酒を嗜むことはないし、俺だって頭が馬鹿になるのが嫌で飲むことは少なかった。