俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 俺は今、六本木にあるとあるクラブのVIPルームのソファにかけていた。テーブルの上には水気を帯びたグラスが置かれ、中の氷がからりと音を立てる。
 部屋の中にいるのはたった二人。それも険悪なムードの漂う男二人だ。

 俺は足を組みながら視界に映る男ーー遠藤に嫌味な笑みを向け、口火を切った。

「随分上から目線の手紙だったな? お前、俺を誰だと思ってんだ? 間男風情がいけしゃあしゃあと言ってるんじゃねえよ」

「……それでもご丁寧に連絡してくださり、こちらとしてしてはありがたいです。それに、部屋もわざわざ用意してくださったみたいですし」

「お前のためじゃねぇ。俺自身のためだ。妻が他の男とデキてたなんて知られたら、さすがに外聞が悪いからな」

 俺の言葉に一瞬こちらに鋭い視線を送る遠藤は見た目とは違って以外と油断ならないやつなのかもしれない。芸能界で生き残ってるくらいだ。人一倍の図太さや野心がなければやっていけないのだろう。
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