俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜
意外と普通に世間話をすることができることに驚きつつ、会話に花を咲かせていると夕食が出来上がった。
「今日はカレーにしてみました」
引っ越しやらで疲労していたため、少しだけ手抜きではあったが失敗せずに作ることができた。なにせ、この部屋は以前のアパートのコンロとは異なりIH仕様で。火加減が心配だったのだ。
「それじゃあいただきます」
手を合わせてカレーを口に入れる私とは異なり、玲二はじっと皿の上のカレーを眺めている。食べないのかと尋ねようと思ったとき、スプーンで掬い取って口に入れる。
「…………まあまあだな。悪くない味付けだ。それなりに俺好みだし、今後も食べてやってもいい」
「…………はいはい、分かりました」
玲二の表情がいつにも増して柔らかくーー。
俺様で捻くれ者の彼の言葉に不思議と腹は立たつことなかったのは、その表情のせいに違いない。
そして私はどこか呆れながらも夕食を平らげる。夕食後、玲二の空っぽな皿を見て私は満更でもない気分だった。