俺様御曹司の隠された溺愛野望 〜花嫁は蜜愛から逃れられない〜

 とうとうこのときがやってきた。
 お風呂から上がり、髪も乾かしてリビングルームのソファに腰掛ける。いつもとは異なるシャンプーの香りに落ち着かない気分でテレビを眺めていた。番組内で芸能人たちが何やら盛り上がっているが、会話の内容など耳に入らない。

「おい」
 
 突如声をかけられ、びくりと肩が跳ねる。
 心臓も早鐘を打ち始め、逃げ出したい気分に陥った。
 人形のようにぎこちない仕草で声の主ーー玲二を見やる。

「なに固まってんだ?」

「別に固まってなんて……」

「いや、どう見ても固まってんだろ。……もしかして、緊張でもしてんのか? ……お前、まさか処女だったりーー」

 下世話な話題に怒りが込み上げ、ソファを勢いよく立ち上がる。そして悪感情を込めて玲二を睨みつけた。
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