初恋は海に還らない
「お前は、この街に居る限り死なせない」
「……なんでですか」
「俺がそう決めた」
「勝手に決めないでください」
「俺は、拾った命に責任持つんだよ。それにジジババが悲しむところは見たくない」
「っ、うるさい!! 私に関わらないでっ!」
思い切り腕を振り払い、自分よりも高い位置にある顔を睨みつける。
男は驚きもせず、表情を変えずにこちらを見下ろしていた。あまりの怒りに呼吸が荒くなる。
今日出会ったばかりのこの男に、私の生死を左右する権利は絶対にない。散々苦しんだ挙句、私なりに決断した。
なのに、なんで──。