初恋は海に還らない
恋をする、恋に落ちる
祖父母の家でシャワーをして服を着替え、昼食を済ませると、すぐに出掛ける準備をした。
二人はそんな私の様子を見て嬉しそうに笑っていて、言葉にはしないけど心配してくれていたんだな、と申し訳ない気持ちになる。
玄関の引き戸をガラガラと開けると、目の前に洸が立っていた。
「おう、行くか」
「うん」
祖父母の家から海に向かってアスファルトの坂道を下るのはさっきと同じ。
そこからは住宅街を街に向かって歩いた。ぬるい風が海から潮の香りを運び、夏を感じる。
「あと少しで着くぞ〜」
数時間前までは、隣を歩いていることが違和感でしかなかったのに。今は何故か洸の隣を歩いていてしっくりくる。