初恋は海に還らない
そんなに広くはない、黒を基調とした店内で目を引く光景。私は驚き目を見開いた。
「すごい……!!これ、洸が全部描いたの?」
「当たり前だろ」
「すごい上手……キレイ」
「自分で言うのもアレだけど、彫るのも上手いぞ」
壁の至る所に飾られた、タトゥーのデザイン画。
色とりどりの花や動物、洸の背中に彫ってあったトライバル柄や、和彫。全てが完成度が高くハイセンスだ。
これを全て洸が描いている。見た目からはまるで想像のつかない、すごい才能だ。
その全てに見入っていると、洸は作業台の上から一冊のカタログ私に手渡す。