初恋は海に還らない




「その他にも、このカタログからも選べる」
「カタログって、これも全部洸のデザイン?」
「そうだよ」
「……ほんと素敵。タトゥーって怖いイメージだったけど、キレイだね、かっこいいね」



 感動から小さく息を吐くと、洸は喉の奥でくつくつと笑う。



「すげぇ素直に褒めるな。株が上がったか?」
「うん。ただの元ヤンの大人かと思ってたから」
「言葉選べよ。また海に投げられてぇの?」



 ぐりぐりと髪の毛を乱されても、私は洸の描いたカタログから目が離せなかった。



< 41 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop