初恋は海に還らない
「……ありえない」
「ブルーハワイと……都は何にすんの」
「……抹茶あずき練乳」
「めっちゃこだわるじゃん」
「……ハァ」
洸もしかり、理玖もしかり、普通に初対面から呼び捨ててくる。
あの後猛スピードで坂を降り、それを維持したまま海に向かってガードレール沿いの歩道を走った。その間私は鶏が首を絞められたような悲鳴を上げ続け、必死に理玖に掴まっていた。
そして、海水浴場の駐車場にポツリと建っている屋台に辿り着き、やっと自転車から降りられた。
マイペースな理玖に続くようにカキ氷を注文し、受け取ると屋台の隣に置いてある席に座る。パラソルがあり、やっと日陰に入れてホッとした。