初恋は海に還らない



 明日両親が私の様子を見に来る。そして、学校側と話したことを私に伝えに来るらしい。


 どうせ、担任が猫を被り、あることないことを両親に伝えている。そして両親はそれを信じている。だって私は、両親にこれまであった事を話していないから。



「親に、やっぱりイジメのこと言わねーのか」
「……言いたくない。子供がいじめられてたって知ったら親は嫌でしょ」
「どっちかっつーと、突然学校に行かなくなった娘から何も相談されない方が悲しいだろ。誰かの手を借りなきゃ難しいこともある。行かなくていい、けど頼るべきところは頼らなきゃダメだ」



 洸の言葉は間違ってない。間違えているのは私だ。そんなの、ずっと前から分かってる。でも、だけど──。



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